お知らせ
2026-01-11 14:32:00
第3回桜講演会に向けて №6
「特別支援教育とそれまでの特殊教育と何が違うか?」
№2から№5まで、特別支援教育の概要(特徴)について書いてきました。これらは、特別支援教育の始まりである平成19年(2007年)8月に、全日本特別支援教育連盟 近畿ブロック大会での「特別支援教育が本格的にスタートした」という講演会での内容です。特別支援教育の理念や方針を読んでいただいている皆様と共有したくてお知らせしています。保護者の方にも知っていただきたいなという思いで書き続けてきました。
今回が最後のポイントとなります。
5.「有効性の範囲」が異なる
それまでも、特殊教育は教育の根幹である等、言われてきました。しかし、より具体的に、「確かな学力の育成」と「豊かな心の育成」に資することが期待されると明確に示されたのは、これが初めてであろうとされています。日本の第3番目の教育改革と言われる所以です。
文科省の答申では、『LD/ADHD/高機能自閉症(当時の旧称)等を含む障害のある児童生徒だけに有効なものではなく、他の児童生徒にも資するものとして考えられる。これまでの特殊教育が、あたかも特殊学級に在籍している児童生徒のためのもの、という認識があったとすれば、これからの特別支援教育は、より普遍的なものであるとして位置付いていくことが期待される。中央教育審議会の特別支援教育特別委員会では、全ての児童生徒の「確かな学力の向上」と「豊かな心の育成」に資することが期待される』と答申されました。
特別支援教育はすべての子どもたちのためのものです。そのため、どの学校学級でも実践されやすくしていくため校内での仕組みや環境を整えていく歩みがありました。その次は、授業改善の取り組み。これらの変遷の中で、変えてこれたこと、或いは停滞していることもあるでしょう。子どもたち一人一人が自分の成長を生き生きと伸ばしていける教育環境の在り方を求め続ける歩みを止めるわけにはいきませんね。
2026-01-09 13:53:00
第3回桜講演会に向けて №5
3学期が始まり、朝の登校時の子どもたちの声が台所に聞こえてきます。やっぱり、いいなぁ。なんだか元気が出てきます。
テレビでは始業式のニュースで、体育館の冷たい床に体育座りで座り、校長先生のお話を聞いている小学生の姿が映し出されました。それぞれの3学期への期待と希望を引き出すようなお話だったのかもしれません。みんな、しっかり前を見ています。この『いとおしい姿』が生き生きとそれぞれの成長につながっていく一日一日でありますように(*^-^*)
「特別支援教育はそれまでの特殊教育とどう違うか?」
4.「アプローチ」が異なる
特別支援教育では、「限られた人のみによる対応」から、より一層「多様な関係者によるチームアプローチ」へと向かいました。
学校内では、「特別支援学級の担当者だけが障害のある児童生徒に対応するのではなく、通常の学級の担当者、養護教諭、校長や教頭などがそれぞれの立場で適切な対応を行うことが期待される」となりました。通常学級にも教育支援のニーズを必要とする児童生徒が在籍していることにようやく目が向けられることになりました。そのため、よりチームアプローチが必要なのです。
当時の特別支援教育調査官のT氏は、「特別支援教育をしないで学校づくりができますか?ゴールの1つです。」とおっしゃっていました。
地域においては、「行政担当者、学校関係者、専門家(医療・福祉・労働など)、研究者、保護者等からなるチームワークを構築し、適切な連携をしながら、その地域の特別支援教育を推進していくことをめざす。」とされ、特別支援教育連絡協議会(広域版と地域版)はその例です。
2026-01-07 14:01:00
第3回桜講演会にむけて №4
「特別支援教育はそれまでの特殊教育と何が違うか?
子どもの教育の機会を保障するというねらいは、特殊教育も特別支援教育も同じです。ただ、特定の障害種別に限定され、特別な場で集団で教育をするという前者と、従来の対象に加え特別な支援が必要なすべての子どもが生き生きと活躍できる共生社会の実現を理念とする後者とでは、自ずと「方法」が異なってきます。
3.「方法」「が異なる
すべての子どもの個性を尊重し、誰もが学べる社会を形成していくために、包括的な支援システムが必要になることは「2.しくみが異なる」で書きました。支援システムが確立していると、支援者が替わっても、継続した取り組みがなされやすくなります。
特別支援教育は、特別支援学級だけではなく、校園内の全ての学級で展開されることを前提としていますので『授業場面では、一人一人の児童生徒の実態を適切に把握し、指導目標を明確に示し、それを実現する内容を明らかにし、適切な方法で指導を行う。指導の結果を随時そして適切にフォローし、さらに指導目標や内容を修正し、指導を進める。このような、目標、内容、方法、結果(評価)のサイクルをより一層明確にしていくことが大切である』と指摘されています。
つまり、個人的な感情や思い込みを排して、科学的視点、なぜそうなるのかを問い、因果関係を探り、規則性を見つけだし、仮説を立てて実施し検証するプロセス(PDCAサイクル」が大切であると言及されました。
このようなサイクルは様々なレベルで行われています。指導や支援レベルでは、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」、学校経営レベルでは「学校評価」と「情報提供」、企業や行政レベルでも然りです。
そのようなPDCAサイクルで、「児童生徒の実態を把握し、短期的長期的な目標を具体的に立て、具体的な指導方法や支援策を工夫して、個別の指導計画を作成し、教育実践を続けてきました」、という先生方を多数存じ上げています。
しかし、多くの労力と時間を要するPDCAサイクルが、この社会情勢変化の凄まじいスピードに適応しているかの問いも出ていることでしょう。現場の声に柔軟に耳を傾け、子どもの成長支援によりふさわしい改善策が再検討されていく時期がきているのかもしれませんね。
2026-01-05 22:31:00
第3回桜講演会に向けて №3
「特別支援教育はそれまでの特殊教育と何が違うか?」
個々での対応だけではなく、学校全体で、全員で、関わりますから、連携できる仕組み(システム)が必要になります。
2.「仕組み」が異なる
特殊教育の指導には、研修や実践による専門性の獲得が非常に重要でした。「個々の教師による個人対応」に重きが置かれていたり、障害の克服を目指す視点であったりすることは、指導者においても当事者の児童生徒においても大変厳しい面があったと思われます。
もちろん、これからも教師一人一人の尽力に負うところは大きいです。けれどもそれだけではなく、これからは「システム」による対応が重要とされました。「一人一人の教育的ニーズ」という多様で複雑な状況に適切に対応するには、個人のみによる対応では限界があり、どうしてもシステムによる対応が必要となるからでした。
導入された仕組みには、「校内委員会」、「特別支援教育コーディネーター」、「個別の指導計画」、「巡回相談」、「専門家チーム」、「個別の教育支援計画」、「特別支援教育協議会」等がありますね。
2026-01-05 15:44:00
第3回桜講演会に向けて №2
「特別支援教育はそれまでの特殊教育と何が違うか?」
今さらと思われると思いますが、第3回桜講演会のテーマは「特別支援教育の今後の動向」ですので、当時その移行(特殊教育から特別支援教育へ)に当たって説明されたことを、少し振り返ってみました。
1.「基本的な考え」が異なる
特殊教育では、特に「障害の種類や程度」に注目し、特別の場を用意し、特別の担当者のみが指導を行うという「特定の障害」に特化した教育でした。
特別支援教育は、児童生徒の視点に立って、一人一人の教育的ニーズを適切に把握して、適切な指導や必要な支援を行っていくという教育です。そして、その際には特別の場における特別支援教育の担当者のみならず、学校として全体的・総合的に対応していくという考え方です。つまり、学校全体で関わっていくという考え方が前面に押し出されました。
